前回の記事でアロマグラスとワイングラスから立ち上るウィスキーの香りの計算を紹介しました。
アロマグラスの計算はこちら。
ワイングラスの計算はこちら。
どちらの方が香りが強いのか?を定量的に評価してみましょう。感覚的にはアロマグラスの方が2倍ほど香りが強い印象です。
図は液面からの高さhと香り分子の濃度(0~1で規格化)の関係を示したグラフです。液面が一番濃度が高く=香りが強く、1となっています。グラスのちょうど真ん中ではアロマグラス(ブレンダーグラス)の方が30%濃度が高い=香りが強いといった結果ですが、実際に人間が香りをかぐグラスのふちでは15%しか差がありません。香り分子濃度が香りの強さに比例すると仮定するとちょっとイメージと違います。
人間が感じる香りの強さと香り分子の濃度の関係はどうなんだろう? いろいろと調べたところ、ウェバー・フェヒナーの法則というのが見つかりました。
ウェバー・フェヒナーの法則に従って、ln(C)で比べてみましょう。Cは香り分子濃度、lnは自然対数です。グラスのふちで比較したところ、あまり差がありません。一方遠方(200mm付近)では、むしろワイングラスの方が香りが強いといった結果です。変だなあ・・・
ワイングラスはグラスから離れても香りを感じるようです。人間の嗅覚は麻痺しやすくて、グラスに鼻を近づけたとき、濃度の差を感じるのではないか? グラスに鼻を近づけていって香りをかぐので、今回の比較にはウェバーの法則がいいのかな?
ということで、ウェバーの法則にしたがって、△C/C で比較してみます。
これだとアロマグラス(ブレンダーグラス)の方が1.6倍香りが強いことになりました。2倍とまではいかないけど、イメージに近い値です。
●まとめ(ご意見、アドバイスをお待ちしています)
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