ビールとナッツの連成解析(実験編)

 ミックスナッツはビールの鉄板おつまみとして知られていますね.私も大好きです.ナッツにはカリウムが豊富である.特に塩味のミックスナッツでは,NHKの“ちこちゃんに叱られる“の「なんでフライドポテトを食べると止まらなくなるの?」の放送[1]でも説明があったように,カリウムとナトリウムの無限ループを生み,さらにビールの炭酸ガスの刺激とも相性がよく,杯が進むことは周知の事実です.ところが近年,ビールとナッツにおける新しい相互作用が報告されました.ドイツのルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン校のLuiz Pereiraがアルゼンチンの酒場で目撃した光景で,ビールにピーナッツを入れて踊るナッツを視覚的楽しむ風習だそうです[2].これを実際に実験してみましょう.

 ピーナッツだけでなくいろいろなナッツで試した方が面白いかなと思い,近所のセブンイレブンと東急ストアでミックスナッツを買ってきました.Value plus のミックスナッツ(無塩)とミックスナッツ(塩あり),セブンの粒ぞろいこだわりバタピです.ビールは炭酸がちょっと強めのアサヒスーパードライにしましょう.

ナッツを数個ビールに入れ,約30分間挙動を観察した様子がこちらです.入れた直後は何も起こりませんが,数分ほどまつとアーモンドが下降し始めました.そのうち上昇,下降を繰り返します.途中から20倍速になります. 


8分23秒から8分42秒までのアーモンドの下降上昇する様子を静止画で取り出してみました.

 Luiz Pereiraの説明よると,ナッツが踊りだす原理は以下の通りだそうです.(1)ナッツを数個ビールに投入する.(2)ビールより重いナッツは下に沈む.(3)ビールは過飽和の炭酸ガスが含まれているため,ナッツ表面の凹凸部に気泡が発生し成長していく.浮力による上向きの力がナッツの重さに勝るとナッツは上昇を始める.(4)ナッツが水面に到着し,(5)大気にさらされた気泡は破裂する.(6)浮力を失ったナッツは再度下降を始める.以降(2)~(6)を繰り返す.というものです.なるほど!実験が終わってナッツ入りのビールを飲みましたが,あまりおいしくはないですね(笑).次回はこれをシミュレーションで再現してみましょう.

[1] NKH番組「チコちゃんにしかられる」を詳しく解説, https://xn--h9jua5ezakf0c3qner030b.com/19766.html#google_vignette, (accessed 2024-07-15).

 [2] Luiz Pereira, Fabian B. Wadsworth, Jérémie Vasseur, Markus Schmid, Simon Thivet, Rafael B. Nuernberg and Donald B. Dingwell, “The physics of dancing peanuts in beer”, R. Soc. Open Sci. 10, 230376 (2023). https://doi.org/10.1098/rsos.230376. 



麦酒物理研究所

麦酒物理研究所 ーBeer Physics Reserch Center- フリーのシミュレーションツール(OpenFOAM)をつかっていろいろと解析してみます。初めてのホームページ作成なので、なかなかはかどりませんが、気長に更新していきます。勘違い、間違いがあるかもしれません。ご意見、コメント歓迎します。

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