interFoamのSpuriousCurrentについて1

 自由表面計算では  気液界面で理論上ありえない速度が発生することがあります。ここでは”みぞみぞ”と呼ぶことにします。正式にはspurious currentとかparasitic currentと呼ぶようです。

 下の式はナビエストークス方程式です。ちなみにナビエ・ストークス方程式はナビエさんとストークスさんが見つけた式ですが、2人は別々にこの式を見つけたそうです。

またこの式の理論解を見つけたら約1億円もらえるそうです(ミレニアム懸賞問題)。

 interFoamではBrackbill (1992)のCSFモデルを使って、表面張力(体積力)𝑭𝝈を計算します。ここでgrad α (∇𝛼) や曲率 κ の計算精度が悪いことが原因だそうです。

例えば、宙に浮いている液滴(1/4の領域を表示)を計算すると、動画のように振動していつまでたっても安定しません。みぞみぞしていますね。 

”みぞみぞ”している動画の計算条件は以下の通りです。液滴半径は30µmでメッシュサイズは1µmです。半径を30個のメッシュで分割しています。これは結構細かいと思います。


fvSolutionのalpha.water の条件もcapillary rise からかなり変更しています。

・capillary rise の条件

 alpha.water { nAlphaCorr 1; nAlphaSubCycles 2; cAlpha 1; }

・今回の条件 

alpha.water { nAlphaCorr 2; 

                     nAlphaSubCycles 1;

                     cAlpha 1; icAlpha 0;

                     scAlpha 1;

                     MULESCorr yes; 

                     nLimiterIter 5;

                     solver smoothSolver; 

                     smoother symGaussSeidel; 

                     tolerance 1e-10;

                     relTol 0;

                     }

 

メッシュサイズを0.5µm~2µmまで変えて計算し、液滴周囲のみぞみぞ速度の最大値の平均値で評価しています。メッシュが細かい方がみぞみぞが悪化していることがわかります。普通メッシュを細かくすると計算精度が上がるのでみぞみぞも抑制されそうですが、そうはいかないようです。

 次に液滴半径を3µm~30mmまで変えてみぞみぞ速度を計算してみました。ここでメッシュ幅は先ほどと同じ条件(液滴半径の1/30)にしています。液滴が小さくなるほどみぞみぞは悪化します。メッシュが細かいとみぞみぞは悪化するので、そのせいかもしれませんね。

 次回以降でこのみぞみぞを抑制する方法を考えていきます。

ちなみに”みぞみぞする”は2017年放送のTBSドラマ「カルテット」で真島ひかりちゃんが言ったセリフで、ドキドキする、ぞわぞわする、ぞくぞくするを意味する造語で、SpuriousCurrentとは全く関係ありません。

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麦酒物理研究所 ーBeer Physics Reserch Center- フリーのシミュレーションツール(OpenFOAM)をつかっていろいろと解析してみます。初めてのホームページ作成なので、なかなかはかどりませんが、気長に更新していきます。勘違い、間違いがあるかもしれません。ご意見、コメント歓迎します。

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